1. 修理すべきか判断する基準
状況・ケース | 修理を選ぶべきケース | 売却を選ぶべきケース |
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① 水没車(室内浸水なし) | 電装系チェック済&エンジンに影響がない | 電装トラブルが残存・異臭や腐食が進行 |
① 水没車(室内浸水あり) | なし(基本的に売却推奨) | 配線・シート・基板・制御装置が浸水 |
② 雹害車(小粒・少量のへこみ) | 塗装割れなし・パネル数枚程度 | 多数のへこみで修理費が高額 |
② 雹害車(大粒・広範囲) | 保険対応かつ車両の価値が高い場合 | パネル交換多数・費用対効果が悪い |
③ 保険適用あり(高額修理) | 保険で全額カバーできる場合 | 免責金額が高い・等級ダウンリスクあり |
③ 保険適用なし(少額修理) | 修理費が10万円以下かつ車齢が新しい | 車齢が10年超・今後も維持費がかさむ |
④ 骨格に損傷なし(外装のみ) | リサイクルパーツで安価に修復可能 | 色違いやパネルずれで再販価値が下がる |
④ 骨格に損傷あり | 車両の時価が高く、事故歴が許容される市場 | 修復歴ありで価値大幅ダウンの恐れ |
⑤ 輸出向き車両 | エンジン機関が正常で海外需要あり | 船積みに耐えないレベルの損傷 |
⑤ 輸出に向かない車両 | 国内でパーツ供給などがしやすい場合 | 需要なし・車検や登録コストが高い |
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補足:自動車保険(車両保険)を使用する場合、基本的に3等級下がります。災害や盗難の場合などは1等級ダウン。詳しくは自動車保険会社で確認ください。
2.パーツ別修理費の相場
パーツ名 | 修理費用の目安 | 特徴・注意点 |
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エンジン | 30万〜150万円 | 水没・焼き付き・オーバーホールで高額。部品交換が主流。 |
トランスミッション(AT/CVT) | 20万〜60万円 | 故障時はほぼ全交換。リビルト品の使用も。 |
エアバッグ/SRS制御 | 10万〜60万円 | 展開済みの場合、エアバッグ本体+コンピュータの交換が必要。 |
電装系(ECU/コンピュータ) | 10万〜50万円 | 水没や電気系トラブルで交換対応。リセットで直らないことが多い。 |
骨格フレーム(修正機使用) | 30万〜60万円 | ミリ単位の修正が必要。事故歴ありとして価値下落も。 |
部品系
部位 | 修理内容 | 相場価格(税込) | 備考 |
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バンパー | 擦り傷補修~交換 | 5万~30万円 | 素材や塗装有無で変動 |
フェンダー | 板金または交換 | 4万~10万円 | 輸入車は高め |
ドア | へこみ修理~交換 | 5万~15万円 | 塗装・配線修理含む |
サスペンション | アーム・ショック交換 | 8万~30万円 | 工賃高め、精度必要 |
エンジン | 交換または載せ替え | 20万~80万円 | 水没やオーバーホール対応 |
フレーム | 骨格修正・溶接 | 30万~60万円 | 事故歴車と判定される |
機関系
部位 | 修理内容 | 相場価格(税込) | 備考 |
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ラジエーター | 冷却水漏れ修理または交換 | 3万~8万円 | オーバーヒート時は要点検 |
ヘッドライト | レンズ交換・ユニット交換 | 2万~10万円 | LED・HIDは高額 |
フロントガラス | ヒビ・割れの補修または交換 | 5万~12万円 | センサー付きは高額 |
エアバッグ | 展開後の交換 | 10万~30万円 | 複数ユニット含む可能性あり |
ECU・電子制御 | 故障診断と基盤交換 | 5万~20万円 | 水没車で故障しやすい |
タイヤ・ホイール | パンク・曲がり・交換 | 1本:1万~5万円 | インチ数とブランドで差 |
※上記は平均的な修理費用を記載のため車種によりことなります。希少車・高額輸入車の場合などは3~10倍ほど高くなる場合もあります。
3.売却した方が良いケース
✅ 売却を選んだほうが“得”になるケース
【例①】「売却+新車買替」の方が得だったケース
アルファード(AGH30型) 事故前の買取価格が400万円
例:走行中に事故をおこしてしまい、修理費用が150万円。
このケースでは、事故車として200万円で売却し、車両保険の(約150万円)と合わせて新たに車の購入に充当することで修理後の時価額に悩むことは少ない。
修復歴有になると時価額から30~40%マイナスの評価を受ける。
まとめ
【修復歴有240~280万円】修理した場合の時価評価額。同じ個所を再度事故を起こしてしまうと修復できないリスクがあり。
【買取金額200万円+車両保険150万円】新たに購入する場合。時価評価の影響と以後の事故リスクに対し、悩むことは少なくなる。
4.事故車でも売れる理由と相場
🚗 事故車でも売れる理由とは? ~アルファード AGH30Wを例に~
一般的に「事故車=売れない」というイメージがありますが、実は輸出市場では事故車でも高く売れるケースが多数あります。 アルファード(型式:AGH30W)は、国内人気はもちろん、マレーシアを中心に東南アジア諸国での需要が高いことで知られています。
🔧 修復歴があっても需要がある理由
- マレーシアでは日本製高級ミニバンのニーズが高く、部品交換済みでも構わないバイヤーが多い
- 右ハンドル車で高年式モデルなら、現地での再販価格が日本より高いことも
- フロントバンパーやライトなどの交換で済む軽度事故なら修理後でも相場が維持されやすい
📈 アルファード事故車の実勢相場例
状態 | 年式 | 走行距離 | 査定価格 |
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フロント損傷 | 2022年式 | 3.8万km | 220万円 |
フロント損傷(エアバック作動) | 2017年式 | 8万km | 70万円 |
このように事故歴がある=売れないとは限らず、海外需要や型式・年式によっては修理せずそのまま売る方が得になることもあります。 特にアルファードのような人気モデルは、事故車でも「部品価値+輸出価値」で高値が付く可能性が高いのです。
💡 中古車相場は常に変動をしているため相場のアップダウンがあります。
🚗国別 中古車輸出 規制一覧
▼各国の輸出規制を確認する
🇷🇺 ロシア
輸出年規制 | ハンドル規制 | 事故車 |
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制限なし(60カ月未満※JUCデータから) | 左ハンドル※JUCデータから | 自走可能のみ |
輸出規制:乗用車600万円未満。1900cc未満であること。■更新:リサイクル税改定 |
🇦🇪 アラブ首長国連邦
輸出年規制 | ハンドル規制 | 事故車 |
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制限なし | なし | ◯ |
再輸出先が多く各国のハブとして利用される。ドバイ経由でロシア再輸出の海路地点。 |
🇲🇳 モンゴル
輸出年規制 | ハンドル規制 | 事故車 |
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制限なし | 右ハンドル中心(公用車は左のみ) | ◯ |
日本からの輸入は放射線規定検査あり。2500cc未満の排気量がこのまれる。ロシア再輸出の陸路地点。 |
🇨🇱 チリ
輸出年規制 | ハンドル規制 | 事故車 |
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製造日から60カ月未満推奨 | 基本左ハンドル(右ハンドル確認) | △(検査なし) |
基本左ハンドル国。事故歴車は現地検査次第で可否が分かれる。 |
🇲🇾 マレーシア
輸出年規制 | ハンドル規制 | 事故車 |
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製造日から12カ月~59カ月まで | 右ハンドル | 〇 |
オークションオークションの相場へ影響を与えやすい要因。中古車輸出は車両の価格帯が高い。 |
🇵🇰 パキスタン
輸出年規制 | ハンドル規制 | 事故車 |
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乗用車:3年以内(2WD)、5年以内(4WD/SUV{2WD/4WD}) 商用車:5年以内 | 右・左 | 〇 |
HV1800cc未満の車両は関税が半額。乗用車1800cc~2500cc未満は25% |
🇹🇭 タイ
輸出年規制 | ハンドル規制 | 事故車 |
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制限なし | 右ハンドル | 不明 |
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🇯🇲 ジャマイカ
輸出年規制 | ハンドル規制 | 事故車 |
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製造日から6年以内(乗用車) 製造日から10年以内(商用車重量1501kg~3000kg未満) | 両方 | × |
年式が新しくディーゼル車で排気量が小さい車両が輸出される。バスは関税が安い。 |
🇨🇾 キプロス
輸出年規制 | ハンドル規制 | 事故車 |
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初度登録60カ月未満 | 両方 | × |
EU排ガス規制(EURO6)に適合必要。事故車不可。 |
🇬🇧 イギリス
輸出年規制 | ハンドル規制 | 事故車 |
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10年未満(追加関税で年数は超えてもOK) | なし(自国は右ハンドル) | 調査中 |
MOTテストあり。プリウス、エスティマ、エルグランドなど |
5.修理と売却、どちらが得か
結論、事故歴のある車や修復歴ありの車は、たとえ走行可能な状態であっても、査定額が大きく下がるケースがあります。例えばアルファード(AGH30W型)などの人気車であっても、骨格に損傷があると一般的な中古車としての流通が難しくなり、買い手が限られてしまうのが実情です。
しかし近年では、事故車専門の買取業者や廃車買取業者が増えており、「事故車でも売れる」市場が拡大しています。たとえ水没歴や大きなへこみがあっても、輸出向け車両として再評価される可能性もあり、車種や状態次第では修理するより売却した方が得になる場合もあります。
また、「車検直前で大きな修理が必要」「タイミングベルトやブレーキなど高額な消耗部品の交換が控えている」などの場合は、高額な維持費をかけるより、事故車査定を依頼して買取価格を比較した方が合理的です。
🚗 アルファード:消耗品交換目安と費用(1・3・5年目)
交換時期 | 部品名 | 費用目安(工賃込) |
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1年目 | エンジンオイル/オイルフィルター | 約8,000〜12,000円 |
1年目 | ワイパーゴム | 約2,000〜3,000円 |
3年目 | バッテリー | 約20,000〜40,000円 |
3年目 | エアコンフィルター | 約4,000〜6,000円 |
3年目 | タイヤ4本(ミニバン専用) | 約60,000〜100,000円 |
5年目 | ブレーキパッド(前後) | 約30,000〜50,000円 |
5年目 | 冷却水・CVTフルード交換 | 約20,000〜40,000円 |
※費用はディーラー・整備工場・地域により異なります。
🧾 アルファード 車検費用の内訳(3年目・5年目)
項目 | 3年目(1回目) | 5年目(2回目) |
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自賠責保険(24か月) | 約17,650円 | 約17,650円 |
重量税(2,000kg超) | 約49,200円 | 約49,200円 |
印紙代 | 約1,800円 | 約1,800円 |
法定点検・整備費 | 約25,000〜35,000円 | 約40,000〜60,000円 |
部品交換・追加整備 | 〜10,000円程度 | 20,000〜50,000円 |
合計費用(目安) | 約100,000〜115,000円 | 約130,000〜180,000円 |
※費用は地域や整備内容、ディーラーか民間工場かにより前後します。
買取実績
スズキ スペーシア
年式 | 2022年 |
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走行距離 | 41,000km |
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破損箇所 | 後方損傷(骨格損傷) |
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ダイハツ ミラトコット
年式 | 2023年 |
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走行距離 | 25,000km |
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破損箇所 | 前方損傷(骨格損傷・錆) |
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ボルボ XC-40
年式 | 2020年 |
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走行距離 | 34,000km |
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破損箇所 | 後方損傷・左側面 |
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BMW 218
年式 | 2021年 |
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走行距離 | 55,000km |
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破損箇所 | 前方損傷 |
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マツダ CX-5
年式 | 2019年 |
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走行距離 | 100,000km |
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破損箇所 | 前方損傷(左側面) |
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マツダ CX-60
年式 | 2025年 |
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走行距離 | 14,000km |
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破損箇所 | 右側面(骨格損傷) |
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